時代物アクション漫画の最高傑作『あずみ』を振り返る[1]【『あずみ』を読んだきっかけ】

[第1回] あずみの魅力を気ままに振り返っています。

『あずみ』を読んだきっかけ

なんで読み始めたんだろう。今となっては思い出せない。
もちろん作品自体は聞いたことあって、映画化もされているし、かなり昔に一二度ページを開いてみたことはあったと思う。その時ですら、絵柄がだいぶ古いなって思って読み進めなかった。

時代物というジャンルなのでそれを差し引いても、かなり古く感じた。1980~90年代くらいの作品なのかなという印象だった。調べてみると実際は1994年から2008年まで『ビッグコミックスペリオール』で連載されているので、そこまで古い作品でもない。

きっかけはともかくとして、1巻からちゃんと読み始めたときに、強烈な場面に出会って完全に引き込まれてしまったのだ。

まずはこの見開きページ。これから物語が始まっていくという期待感が高まる。続いて、それぞれ二人組になって使命を果たすという指示。これもワクワクする。ただ、普通の少年漫画的な展開でもあり、特別驚くことはない。ある意味、これからの展開の前振りのようなシーンだ。

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この子供たちの組み分けの場面もとてもいい。みんなすごく素直だ。あずみと組みたい子はたくさんいて、隠そうともせずに伝える。みんな二の腕をがしっとつかんでるのも良い。あずみはあずみで、それを気にもせず一番の美男子を選ぶ。振られた子たちも、気にすることなく、それぞれで組む。

さらっと描いてるけど、今風の漫画だったら、こういう状況のぐちゃぐちゃした心境だけで一冊描けてしまうくらいの場面だと思う。組みたいけど言い出せないとか、誘われた手前断るのも気が引けるとか、なちを選んだら面食いで薄っぺらいと思われやしないかとか、断った後も友達として普通に話せるかなとか、いろいろ考えた挙句、それぞれ目配せしながら、みんな自分からは何も言いださない感じになるみたいな。

でも、そんな話って、冷静に考えるとつまんないよね、と。このくらいあっさりしてるのが気持ちいよねと、胸のすくスッキリさを味合わせてくれる。

あとは、この閉じられた世界で育った子供たちの純粋な性質を描くためというのもあるだろうけど。これでさっそくこの子らの魅力に感情移入してしまう。

しかし、この場面すら前振りに過ぎないのが、あずみの恐ろしいところ。

感情移入させた瞬間に、爆弾を突っ込んでくる。この爺はほんと鬼。

しかし、これもまあ、なくはない展開。1話目からという速さと、感情移入したばかりという、ドンピシャなタイミングだから衝撃だけど、少年アクション漫画ではあり得る展開だ。たいていはこの指示どおのシビアにはならないことも多い。

きっとなにか殺しあわなくてよくなるかもしれない。と、思いながら読み進めていくが……。

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もっとも無慈悲な展開が待っていた。もともと、なちとあずみは相思相愛の仲で、巻頭にそのエピソードが描かれている。その二人でも、思わせぶりに盛り上げながら引っ張っていくとか、甘い展開は無し。あずみの剣のように物語もバッサリといく。1巻の、1話からこの密度。すさまじい。あずみにすっかり引き込まれてしまった。

ちょっと前まで二人はこんな感じだったのに……

あずみは一話一話が濃いので、感想が止まらなくなる。またどんどん書いていこう。

……つづく


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『あずみ』

  • 著者: 小山ゆう
  • 出版社: 小学館
  • 連載誌/レーベル: ビッグコミックスペリオール / ビッグコミックス
  • 連載期間: 1994年 – 2008年
  • 全巻数: 全48巻(文庫版は全24巻)
  • ジャンル: アクション漫画・時代漫画


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