
[第17回] あずみの思い出を気ままに振り返っています。
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描かれる思春期と性・4
くノ一のオナニー、タブーなきリアリティ

諜報役で出てくるくノ一のキャラクターが強烈だった。
幼い頃から女業を仕込まれたのだろう、その影響で性に目覚め、オナニーの常習者になっている。
暗い場所で色恋の情事に聞き耳を立てていると、役得とばかりに性器をまさぐって自慰がはじまる。手つきや雰囲気からいって、この手の仕事のときはいつもしているに違いない。
はっきりとは描かれていないものの、イッたと思われるコマもあり、そこもふくめて、意味のないタブーを作らない姿勢は清々しくもある。


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そもそも、くノ一となれば性の技を仕込まれるのは共通認識だ。相手を色仕掛けで惑わし情報を得たり、思い通りに操ったり、またはその場で暗殺したりと、それは強力なツールになる。
だから忍術作品には色仕掛けのシーンが溢れている。でも大抵の作品では、色仕掛けのセックスシーンは盛り沢山だが、くノ一のパーソナリティを掘り下げるような自慰の描写は見たことない。
『あずみ』という作品は、こういう「描かれないリアリティ」に踏み込んでくるのが面白い。
考えてみれば、幼い頃に性の技を仕込まれれば、その後も性に嫌悪感を抱くか、あるいは早くもその快感に目覚めるかのどちらかだろう。
教える上忍の腕が良ければ、後者になるのは当然で、このくノ一は性を楽しんで受け入れている。どこでも構わずオナニーにふけり、また夜ごと上忍とのセックスを楽しむシーンもある。
一見、破廉恥で野放図なようにも見えるが、そこにはなんの罪もないはず。このくノ一の生活には影はない。もちろんこういう人生が良いかというのは別の話として。

あずみとの対比も興味深い。
あずみは殺人者として育てられ、常に使命に苦悩している。一方このくノ一は、性の技を仕込まれたが、それを自然なものとして楽しんでいる。同じように特殊な教育を受けても、この違いはどこから来るのか。
おそらく「暴力」と「性」という行為の違いだろう。暴力は一方的に他者を傷つけるが、性は快楽という報酬が伴う。だからこそくノ一は自分の役割を受け入れられる。
こういった他の漫画では描かれないような、それでいて確実にキャラクターのリアリティに迫るような描写が、やはりこの作品の魅力だ。
……つづく
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『あずみ』
- 著者: 小山ゆう
- 出版社: 小学館
- 連載誌/レーベル: ビッグコミックスペリオール / ビッグコミックス
- 連載期間: 1994年 – 2008年
- 全巻数: 全48巻(文庫版は全24巻)
- ジャンル: アクション漫画・時代漫画
もう一度「あずみ」を読む 更新履歴
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小山ゆう 作品リスト
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